イスラエルとビジネスをする理由は?

イノベーションと起業/企業家精神に溢れる先進国家イスラエルだが、日本にとってはテレビや新聞などからもたらされるニュースのおかげで紛争地域としての先入観が強い。イスラエルとビジネスを行う利点は何であろうか?

企業が発展し続けていくには、競争力の向上、新製品・新技術の開発、新市場の創設、企業力の向上などその他多数の要因がある。企業の発展・グローバル化やグローバル企業の発展においては各要因に「世界に通じる」レベルが求められるのは言うまでもない。国際的に「通用する」レベルを実現する上ではやはり、パートナー・協力関係を築く相手が重要となる。

人口8百万のイスラエルにおいて民間R&Dへの国費支出額がGDP4.1%であり人口一人当たりでは1,335米ドルになるのはOECD加盟国の中で一番(2013年)(*1)、人口一人当たりの平均投資ファンド(VC)取扱額(2013)は米国(660.41ドル)およびEFTA(278.73ドル)を上回る(1092.52ドル)(*2)、ナスダックに上場する米国外企業としてはカナダ、中国に次いで3位(88) (*3)、人口に占める技術者・科学者の数の多さは世界でも群を抜き(人口1万人当たり140人、日本- 83人、米国- 80)(*4)、これらのデータは「特にR&Dおよび起業・成長においてイスラエルが可能性に溢れていること」を示唆している。近年その重要性が特段の注目を浴び始めたサイバー・セキュリティに関しては、2015年9月17日にハ・アレツ紙に以下の様な紹介が為されている「サイバー・セキュリティ関連分野では、25か国以上の先進国がイスラエルと何らかのコンタクトを保っている。2015年には、14社の会社が海外の会社によって買収されその金額は1,300億円に上る。また、総理府内国家サイバー保障局の局長エビヤタル・マトニア博士によると、世界でのサイバー投資のおよそ20%に相当する250億円がイスラエルのサイバー関連企業へ投資されている。イスラエルのサイバー・セキュリティの分野では250以上の会社があり、そのうち約半数がスタート・アップである(*5)

総務省の発表によると、日本において起業は未だ敷居の高いものであり、膨大な資金と時間が掛かるR&Dは大企業だとか政府関係機関からのものが殆どである。ある本で紹介されているイスラエルでの事例を一つ挙げよう。それは、ビジネス上の性質としてオンライン決済に係わる詐欺対策に常に多大な努力を注ぐ金融系グローバル企業によるイスラエルのスタート・アップの買収事例である。そのグローバル企業は、多数の優秀な人材による自社R&D部門と同じ、若しくはそれ以上の実績を成し遂げたわずか数人のイスラエルのスタート・アップを、企業戦略として買収したのである。そのグローバル企業のCEOは初めにその実績に当惑を覚えたが、しかしそれがすぐに驚嘆と喜びに取って代わられたことを告白している。これは革新的技術および戦略的ビジネスパートナーを競合相手に先んじて獲得した一例である。本事例以外にもマイクロソフト、アップル、アマゾン、フェイスブックなどのグローバル企業によるイスラエル新興企業のM&Aの事例を数え上げると枚挙にいとまがない。イスラエルには世界中の主要企業が集まっており、企業戦略の根幹に係わるR&Dの一大拠点となっている。ビジネス競争においては世界の潮流に乗り遅れることなくそれを乗りこなしてこそ、他者に一歩を抜きんでることが出来る。

「ベンチャー神話」が全てではないが、ベンチャーが経済成長の一因として機能するまでに日本のビジネスに浸透すれば日本経済も新しくなり、R&Dに優れた才能とモノづくりに優れた日本との協力は非常に素晴らしい果実を結ぶと考えられる。更に、近年の日本政府とイスラエル政府間の協力関係も大きな追い風となるはずである。日本にとって距離的にも心理的にも遠い国、イスラエル。だが、最先端技術を有するスタートアップ企業を輩出する「発明大国」であることは世界で認知されており、マイクロソフト、モトローラ、グーグル、アップル、ヤフー、フェイスブック、バークシャー・ハサウェイ、インテル、HP、シーメンス、GE、IBM、フィリップス、ルーセント、AOL、シスコ、アプライドマテリアルズ、IBM、J&Jなど欧米ハイテク企業の多くがイスラエルに研究開発拠点を置く。韓国のサムスンも既に10年前に進出している。日本企業にも最近ようやく動きが出始めたイスラエル技術を取り込む投資方策を検討しています。
 

*1 Central Bureau of Statics of the State of Israel

*2 ウォ-ル・ストリート・ジャーナル

*3 NASDAQ Company list by regions

*4 Israel Country Study Guide Volume 1 Strategic Information and Developments (IBP, Inc USA)

*5 ハ・アレツ紙2015年9月17日掲載記事からの抜粋

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